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Interveiw with 野口健Interveiw with 野口健

全国のシカによる食害や状況について(奥多摩・八ヶ岳・丹沢)

平成27年度における、シカやクマ等の野生鳥獣による森林被害面積は全国で約8千ヘクタールとなっています。このうち、シカによる枝葉の食害や剥皮被害が全体の約8割を占めていて、深刻な状況となっています。(林野庁)山梨県でも捕獲数が増えたことにより、森林被害額は減少傾向にあるものの、2015年度のシカによる森林被害額は3億2600万円、農作物被害は3800万円となっています。また、南アルプスでは高山植物が採食され、植生の単一化やライチョウなど他の野生動物への影響など生態系への影響もでています。健さんが継続的に活動されている富士山の樹海でも樹皮剥ぎや植栽木への食害が深刻視されています。今日は、野口健さんが日頃から活動されている山域でのシカ・イノシシなどの獣害問題についての感じられていることを伺えればと思っています。
現場で感じたことは、日本の森はどこに限らず食害で非常にピンチだということですね。僕は都レンジャー(※1)と関わっているので、都レンジャーの人達と奥多摩の森も食害調査で相当に歩いたんだけど、奥多摩の食害も相当ひどくて・・・。それで鹿を駆除しようということで、都が猟友会の方にお願いするんですけど、猟友会の方も高齢の方が多く歩いて山にあがれない。猟友会の方をヘリに乗っけてて山にあげても、藪の中を歩けない。仕留めることができない、というのが課題だったなぁ。食害の問題は全国ですごく言われているけど、じゃ具体的にどうするのかという話になったときに、どうやって駆除するのか、その解決方法がなかなか見えてこなかった。そこで東京都の中でも、駆除するだけでなくて、駆除する側にメリットがなければ若い人もやってくれないよね。ということで、奥多摩のあたりでも駆除した鹿の料理が美味しく食べれる山小屋や民宿を広げたらどうか、なんてことも検討されていたよ。
もう15,6年前かな。八ヶ岳でも被害はひどいよね。歩いているだけでもわかるよね。立ち枯れしている木がたくさんある。丹沢も、以前に神奈川県放送の番組で鹿の食害をテーーマに丹沢の子どもと歩いたけど、ひどかったな。みんながこのままいけば、日本の森が死んじゃうぞと分かっているけれども、中々手を打てないまま、ずるずると来ているなぁと感じます。温暖化の影響などもあるけど、八ヶ岳の麓に行った時は、いかに鹿をひかないか気をするぐらい。とにかく、この数十年間で鹿が増えているなぁと感じます。
やはり全国的に同じような状況で解決策を模索しているのですね。調査や捕獲の関するお話も出ましたが、これまでも都レンジャーや林野庁のレンジャーなど、いわゆる現場で活躍する管理側の方達が捕獲活動をおこなうということは検討されたりしたのでしょうか?
捕獲などは都レンジャーの業務の範疇に入っていないですからね。都レンジャーとして駆除するというのは本来できたらベターなのかもしれませんが、実際に本気で駆除するとなると、都レンジャーの人数では足りないですしね。駆除をできる規模ではない猟友会の方たちだけでは絶対に無理なことなんでね。ある一定の人だけが駆除できるレベルではない。かつてのように里山に入って獲物を獲るという習慣のなかで、文化の中で森の中に入って命をいただくというように、幅広く色んな人が取り組まないと無理だと思う。

ジビエ・エシカルレザーとしての資源の活用について

同じくそう思います。各省庁や自治体が掲げる捕獲数を考えても、やはりより多くの人が習慣として、文化として、狩猟や捕獲に取り組んでいただくことが必要だと考えます。また、捕獲後の資源の活用、出口整備として、鹿肉を食肉として流通する処理施設が、私の住む山梨県では現在4施設稼働しています。ただ、そうした処理施設をつくっても、素材を扱う飲食店や消費者への認知や理解・周知不足を感じます。
それでも最近ジビエはブームになってきているよね。必ずこの日にこれだけと決めて、仕入れがないと困るお店もいる。だから大型店舗での大量仕入れは無理だよね。ジビエは、お客さんも、行けば必ずあるものではないという理解で来てくれればいいと思うんだよね。連絡があっていくようなね。獲れたら食べられるというのが、本来の生き物としての形だと思うんだよね。
そうですね。‟売れる商材“という認識で、野生動物の命を扱ってしまった故の人間の過ちはこれまでも多くあります。一つ間違えれば乱獲にも繋がります。
これまで健さんが訪れたお店などで、素晴らしいと感じたいい事例などはありましたか?
いま、尾又さんのお店のような※2ジビエレストランが八ヶ岳の麓などで増えてきていますよね。客層は意外と若い人が多かった。年齢によっては、ジビエって聞くとうっと引いてしまう人もいるけど、若い人は抵抗がないですね。非常に興味もってくれる。少し前までは、白神山地とかで駆除や熊を殺すというと、ものすごく悪いイメージがあったと思う。殺すのが可哀想とかね。でも、今は大事なことは生態系で繋がっていること、減らしていかないと他の動物が減ってしまうということが理解されはじめている。これまでは感情論になりやすかったところが。特に今の若い人は感情論にならずにすっと理解してくれる。感情的アレルギーが少ないことはいい流れだなぁ。あと、駆除の部分で「ただ殺して埋める」だと、殺して埋めちゃうのかぁと残念な気持ちになる。可哀想だよね。殺したものを食べれば命としては無駄にならないし、それをどう美味しく食べるかと考えることはすごく大事。無駄に殺すわけではなく、駆除した命を食べて繋がっていけば、自然の流れのなかで生態系は息ができるのかなぁって思う。
そうですね。山梨県では、シカの年間捕獲数が約11,000頭で食肉としての利用は、捕獲数全体の約7%、鹿革製品としての利用はほぼありません。Foresentではこうした問題を背景に、鹿皮を‟無理のない範囲“での資源としての有効活用をミッションとしています。小規模な市場において継続的な需要と供給をつくり、その利益を環境保全活動や林業へ還元していくことを最終的な目標としています。一歩間違えれば乱獲などにもなりかねない難しさが野生にありますが、現状、廃棄されているものだけでも活用していければと考えています。そうした野生の資源と生態系バランスに対して、海外での事例として「ワイルドライフマネジメント」という考え方があります。前年に調査機関が生息数と捕獲数のバランスを算出して、狩猟が解禁された時期に目標数を明示して、その頭数をきっちり捕獲する。そして捕獲した命をすべてきっちり食糧としていただく、といった取り組みです。日本でも古くから続く狩猟文化に「マタギ文化」があります。現在、こうした文化や考え方などで感じる点はありますか?
そうだなぁ、マタギとは長年付き合ってきたけど、彼らは最低限の命しか頂かないんだよね。乱獲は絶対にしない。どれくらい獲っていいかということも彼らは分かっているし、獲った熊を無駄なく骨以外は全部使う。毛皮も使うし、内臓は漢方につかう。一つ一つの命に対してものすごく大切に扱う。人間というのは欲でキリがなくなるけど、マタギの人達は、あくまでも命を頂いている側とだいう自覚をもっていて、物事に対しての感謝や生態系に含まれていることも分かっている。白神山地に行くとそうした気持ちをすごく感じる。だけど、都会に戻るとすごくギャップを感じるよね。都会で生きている僕らはスーパーに行けば簡単に肉や物を買える。マタギの人達のように、肉を食べる所から命に対しての感謝するという経験は中々できない。だから、マタギの人達のような生き方を伝えていくことが重要で、食べるということは殺すということ、殺すということは命を頂く食べるということだと、学ぶことが多いと思うんだよね。一度マタギの人を東京に呼んで、ジビエのフレンチコースをご馳走したんだけど、途中で機嫌悪くなっちゃって、「野口さん、私はコースなんて必要ない、美味しいものはたくさんでるけど、こんなに要らない。腹八分目でいい、それで心は幸せになるんだと」言われてしまって、反省しましたよ(笑
必要最低限だけの肉・皮を余すことなく使い、命を無駄にしない。命への敬意は野生のものを扱ううえで根底になければいけないことですね。
独創性があるものの方がいいよね。工場で大量生産されるとなんか違うし、顔が見えているものの方が愛着も沸くしね。
最後に、製品を実際に使ってみてのご感想を教えてください。
革靴は良く履いているし、講演会などあると移動もあって朝から晩まで1日履きっぱなしもあります。靴を買う時に履いた瞬間の感じにいいと思って買っても一日履いていると、なんか小指の部分が当たって痛かったりするんだよね。足の不快感って精神的に良くないんだよね。足が不快だとものすごくストレスがたまる。山屋になって感じたのが、足の疲れは全身の疲れに繋がってくる。だから靴はすごく大事だと思っています。鹿革の靴は履いてすぐわかったけど、作ったばかりの靴って、自分の足がなじむまでは履かれている感があるものなのに、鹿革の靴には、その履かされている感が全くない。ものすごく柔らかった。あとは歩いた時に踵が曲がった時の足の甲の圧迫感が全くない。すごくフィットして何も考えずにすっと履けた感じがあったな。あと、使っていくうちにいい感じにシワが味として出てくるんじゃないかな。
ありがとうございます。健さんのおっしゃるとおり、鹿革は軽い・柔らかい・シボ感が生み出す独特の風合いが魅力です。経年変化で深みも出てくるかと思います。
僕も靴は好きで、長いものは8年、10年と履いているものがあって、一番長いものはソールを張り替えながら15,6年履いているものがあるよ。靴は長く付き合うと楽しいよね。靴と過ごしている時間や共に歳を重ねることも楽しい。エベレストに登った時から履いている靴は未だに履いているけど、靴を磨いているときに、あぁエベレスト登ったなぁとか、色々な土地を回ったなぁとか、ふと思うよ。だから、この鹿靴でも10年後にはどんな事をやっているのかなぁと考えると楽しいよね。
ありがとうございます。では、Foresentの靴で今、お出かけしたい場所はありますか?
お洒落な靴だし、やっぱりデートだね!(笑)デートで尾又さんの店(ジビエのワインバルurban’s camp)に行くよ(笑)

野口 健Ken Noguchi

1973年生まれ。主な活動は富士山やエベレスト清掃活動、シェルパ基金、ヒマラヤでの植林活動やネパールでの学校建設、ヒマラヤの子供達にランドセルプロジェクト。NPO法人富士山クラブ理事長、NPO法人ピークエイド理事長。亜細亜大学客員教授。三菱自動車アンバサダー。